今年の9月は2週連続で3連休となり、コロナ対策のための行動制限もないということで、かなり賑わうかと思われましたが、どちらの週末も雨が降ることがあり、若干控えめだったでしょうか?円山動物園で毎年この時期に行われていた『動物敬老の日イベント』は、高齢動物たちに感謝とお祝いの特別給餌をプレゼントするという、1967年から続く恒例行事で、私の最も好きなイベントでした。今年、その開催日はいつなのだろうかと、予定を空けて待っていましたが、いつまでたっても発表されることはなく、その代わりというか、さらに対象動物を広げた形で「実りの秋 2022」というイベントが行われました。来年以降も継続するのか、動物敬老の日イベントはこのままなくなるのかは、来年以降にわかることですね。2年前の2020年、足の不調のため特別給餌が見送られたララに、今年こそホテルシェフ特製のスペシャル給餌があるだろうと期待していましたが、『ララはまだまだ若いわよ!』ということで、別なタイミングを期待することにします。
『実りの秋2022』は、2022年9月17日(土)から9月25日(日)の期間、動物たちの食に着目し、動物たちの生態を観察しながら、ガイドも聞くことが出来るという趣旨のイベント。中には特別給餌が用意されている動物もあり、ブチハイエナ、ユキヒョウには屠体(とたい)給餌がありました。
ブチハイエナのカミ(オス)がもらったのは、ホンドジカの足の部分。リハーサルが1回行われたそうで、今回は2回目の体験です。結果からいえば、約2時間かけて、ほぼ全てを食べ尽くしました。普段の餌は小さかったり、骨がなかったり、丸鶏の時も早めに平らげてしまうので、シカの足も意外に早く食べてしまうのでは?と思いましたが、さすがに2時間はかかりました。骨を全て砕き、爪を剥がしその内側も食べ、剥がした皮も食べ、満足した顔で屋外へと出ていったカミ。想像以上に見応えがありました。最近ではテレビ番組でも、狩りや捕食のシーンはカットされていることも多いので、野生動物の姿の一片を観られる貴重な時間だったと思います。
キリンたちには、ニセアカシアの枝が用意されていました。これは特別な給餌ではなかったかもしれませんが、トゲをよけながら葉を食べるという、野生に近い姿に見えました。ニセアカシアは繁殖力が旺盛で、発芽から秋までにぐんぐん成長するため、私も頻繁に剪定したりしますが、トゲがささるので苦手です。その枝に長い舌を伸ばし、葉だけを食べるというのは、本当に凄いなと思います。
動物園でカバへの特別給餌といえばスイカです。円山の場合、2個体(ドン・ザン)とも高齢なので、年齢に応じた対応をされていると思いますが、今回はどちらも、皮付きまるごとスイカを、一瞬で消してくれました。お元気そうで何よりです。
ユキヒョウのアクバル(オス/17歳)にも、ブチハイエナと同じホンドジカの足が用意されました。舐める、肉をかじる、隠す、運ぶ、(獲物を)守る、という行動を見ることが出来ました。ユキヒョウ(13時30分スタート)とホッキョクグマ(14時スタート)の給餌時間が30分しか違わず、両方を見るためには、離れなければならず、屠体給餌を通して観られなかったことが残念でしたが、1時間後に戻ってくると、アクバルもシジムもすでに肉から離れ放置しており、多くの部分は残ったままでした。野生では自分よりも大きな動物を獲物にするといいますが、それをどれくらいかけて食べるのかについては、なかなか知ることが出来ません。ユキヒョウならではのルールがあるかもしれません。
ユキヒョウのシジム(メス/12歳)にも同じくホンドジカの足が用意されました。1本ずつ袋に入って入荷されていたようなので、ドリップの味なども毛皮部分にたくさんしみていたのかもしれませんし、別な理由かもしれませんが、2頭ともよく舐めていました。
皮付き、骨付き肉は、動物園の動物たちにとって、野生の本能を目覚めさせる、刺激いっぱいの特別給餌だったようです。皮付き骨付き肉といえば、2018年(戌年)のお正月特別メニューに、オオカミたちに皮・骨付き鹿肉がプレゼントされたこともあります。
ホッキョクグマたちには、ブドウ(巨峰)、桃、昆布、デナリには下ろしたニジマス、ララとリラには鮭半身が特別給餌として用意されました。
予定では、実りの秋2022イベントのセレモニー(9月19日(月)予定)で、デナリが代表としてホテルシェフ特製メニューをプレゼントされることになっていましたが、雨のため中止となってしまいました。代わりに21日(水)に担当さんによる特別給餌が行われました。イベントを嗅ぎつけたのか、カラスが大量に飛来していたので、餌は玩具で隠されました。
ララには、ニオイで中身がわかるようで、考える間もなく玩具ごと屋内に運び込もうとしました。しかし扉を通過出来ず、おかげで私達は食べる様子を見ることが出来ました。以前は、イベント時を含み日中は寝室扉を閉鎖しているのが通例だったので、餌を食べる姿は普通に屋外で観られていましたが、今は寝室扉を開放されているので、珍しい魚を給餌すると、屋内に運び入れるのが恒例となっています。
ララは以前、大きな昆布をプールに入れてもらったことがあります。↓
リラは9月24日(土)に給餌されました。ピルのおもちゃの上に乗せられた昆布は、ひっくり返されました〜。
ブドウの反応
デナリ、ララ、リラ3頭とも食べました。
桃の反応
皮をむいた、カットされた桃で、カラスが持ち去ったこともあり、正確にはわかりませんが、3頭ともほとんど食べていなかったのではと思われます。ララとリラが同居していた時代にも黄桃が給餌されたことがありましたが、当時も食べませんでした。
昆布の反応
デナリは味見程度で終わり、ララは少し食べていましたが結構残していました、リラはニオイを嗅いだだけに見えました。
野生のホッキョクグマは、狩りの出来ない夏場などに、海藻を食べることもあるということが確認されています。安定して餌をもらえる飼育下の動物には、優先順位は低い食べ物なのかもしれません。
こうした結果を見られるのも、特別給餌のおかげ。食べてくれたらもちろん嬉しいですが、食べなくても嗅覚の刺激になったと思います。
キリン、カバ、ブチハイエナ、ユキヒョウ、ホッキョクグマへの特別給餌の様子です。
コメント
デナリ・ララ・リラが、桃や昆布を避けていたのは興味深いです。
白菜が大好きなララは、キャベツはあまり好きではないそうですね。
逆に、ヤナギやカエデをパクパク美味しそうに食べる彼ら。本当に見ていて飽きません。
昔は食べていたのに、今は食べないというものもあり、
そういう現場に立ち会うと、生きものだなあと感じます。
ヒトも、昔は苦手だったのに、今は大好きというものがありますしね。